はじめに:Imperial College Londonの魅力と出願の難しさ

イギリス・ロンドンの中心部に位置するImperial College London(インペリアル・カレッジ・ロンドン、以下ICL)は、QS世界大学ランキングではトップ10圏内に入る常連であり、世界中の優秀な学生が集まる場所です。

ロンドンという国際都市にあり、研究施設、企業、医療機関との連携が非常に強いため、学問と実践を融合させた教育環境が整っています。このため、卒業生は研究職や外資系企業、国際機関など幅広い分野で活躍しています。

こうした魅力の一方で、ICLの大学院出願は非常に競争的で準備が大変です。定員が限られているため、出願のタイミングを誤ると希望コースが締め切られてしまうこともあります。さらに、成績や英語力だけでなく、Personal Statement(志望動機書)の内容が大きな比重を占めるため、対策が不可欠です。

本記事では、ICLの大学院出願の流れを基礎から紹介しつつ、合否を左右するPersonal Statementについて「何を書くべきか」「どう書けば印象に残るか」を徹底的に解説します。


1. 出願方法と基本的なルール

1年間に応募できるのは最大で2コースです。第一希望と第二希望を同時に登録しますが、審査は必ず第一希望から始まります。もし第一希望が不合格またはウェイティングリストに入った場合のみ、第二希望が審査に回されます。

注意すべきなのは、第二希望が必ずしも審査されるわけではないという点です。また、学部によっては第二希望の応募自体を受け付けない場合もあるため、事前にコースページで確認する必要があります。

Imperial Business Schoolの特例

ICLの中でもImperial Business Schoolは特に厳しいルールを持っています。

  • 出願できるのは1つの修士コースのみ。同じ年度内に複数出願することは不可。
  • 志望する場合は必ず第一希望に設定する必要がある。
  • Finance関連のコースでは、応募時に「金融分野の興味領域」を記入可能。もし第一希望で不合格になっても、この興味領域をもとに別のFinanceプログラムで再検討されることがある。

つまり、Business Schoolを狙う場合は「どの分野に強い関心があるのか」を早い段階で明確化しておくことが重要です。


2. 出願時期と締切

ローリング方式

ICL含めイギリスの大学院は基本的にローリング方式(定員に達するまで随時受付)を採用しています。ただし、人気のあるプログラムは1月頃から順次締め切られることが多いため、実質的には早期出願が必須です。

特に工学系、医療系、公衆衛生、ビジネス系のコースは、秋から冬の段階で枠が埋まり始めます。

ラウンド制を採用するコース

一部の学科では、年間を通じて複数回の締切を設けるラウンド制を採用しています。

  • そのラウンド内に出願した応募者は、定められた日までに合否通知を受け取る。
  • ただし後半ラウンドでは席が限られるため、早期ラウンドでの出願が有利

特に奨学金を狙う場合は、早期ラウンドで出願しておかないと応募資格を失ってしまうこともあるため、スケジュール管理が極めて重要です。


3. 出願料と免除制度

Imperialでは出願に手数料がかかります。

  • 一般の修士課程(Business School除く):£80
  • Imperial Business School MSc(2025-26年度):£100
  • Imperial Business School MSc(2026-27年度):£125
  • MBA:£150

出願料は「1回の申請単位」で発生します。つまり、第一希望と第二希望を同時に記載した場合でも1回分の支払いで済みます。

また、経済的な事情により支払いが困難な学生のためにFee Waiver(出願料免除制度)が用意されています。承認されれば出願料は不要となり、経済的負担を軽減できます。


4. 推薦状と選考プロセス

推薦状(References)

出願には通常2通の推薦状が必要です。学部の指導教員や職場の上司などが適任です。締切までに推薦状が揃っていなくても出願自体は可能ですが、審査は提出済みの書類を基に進むため、推薦状の依頼は早めに行うことが重要です。

インタビュー

Imperial Business Schoolのプログラムでは書類選考に加え、インタビューが行われることがあります。

  • 実施形式:対面またはオンライン
  • 内容:志望動機、キャリアプラン、リーダーシップ経験など

5. Personal Statement(PS)の重要性と書き方

ICLの出願において最も重視される書類のひとつがPersonal Statementです。成績や英語スコアは数字で比較可能ですが、PSは「数字に表れない部分」をアピールする唯一のチャンスです。

選考官は、PSを通じて応募者が「なぜそのコースを選んだのか」「どんな経験を積んできたのか」「将来どう活かすのか」「Imperialでなければならない理由は何か」を見極めます。

分量と形式

  • 一般コース:A4 1〜2枚(500〜1,000語程度)
  • Business School:設問形式で各3,500文字以内

書くべき内容:5つの基本構成

ICL公式は以下の流れを推奨しています。

  1. 志望動機
    この分野に興味を持ったきっかけや、学びたい理由を具体的に説明します。
  2. 関連経験
    学業、研究、職務経験、課外活動などを通じて得た知識やスキルを示し、コースの要件に合致していることを示します。
  3. 将来の展望
    コースを修了後、どのようにキャリアや研究に活かすのかを明確にします。
  4. Imperialを選ぶ理由
    施設、研究グループ、教授の専門性など、Imperialならではの魅力に言及します。
  5. 結論
    志望理由を簡潔にまとめ、全体を締めくくります。

書き方のコツ

  • 早めに書き始める:奨学金応募にはPS完成が必須なので余裕を持つ。
  • 具体的に書く:ランキングや抽象的な表現より、学びたい研究テーマや教授名に触れる
  • 避けるべきフレーズ
    • “From a young age…”
    • “I have always been interested in…”
  • 独自性を出す:自分の体験、課題意識、成果をストーリーとして語る。
  • チェックを徹底:誤字脱字や他大学名の誤記は致命的。

Business School特有の質問

Imperial Business Schoolでは以下の質問に答える必要があります。

  1. Why Imperial Business School, and how will you contribute to our community?
    =「なぜImperial Business Schoolか」「コミュニティにどう貢献するか」
  2. Imperialの価値観(Respect, Collaboration, Integrity, Innovation, Excellence)の体現例
    =過去の経験の中でこれらの価値観を実践した事例とその成果

これらは単なる自己紹介ではなく、自分の経験を価値観と関連付けて語る必要があります。


6. 出願で成功するための実践アドバイス

Imperialの出願で合否を分けるのは「タイミング」「準備」「一貫性」です。

  • 早期出願:人気コースは年明けに閉じるため、秋には書類を整える。
  • 一貫性ある書類:PS、推薦状、CVの内容を揃え、矛盾をなくす。
  • 面接対策:研究テーマよりも、キャリアとの関連性や社会的意義を語れると強い。

まとめ

Imperial College Londonの大学院出願は、学力や英語力だけでは突破できません。「早めの行動」「戦略的なPS」「推薦状の準備」がそろって初めて合格に近づきます

特にPersonal Statementは、あなたの志望理由と将来像を最も直接的に伝える書類です。抽象的ではなく具体的に、自分の経験をImperialの教育環境と結びつけることが最大のポイントとなります。

世界中から優秀な学生が集まるImperialで学びたいと考えるなら、今から準備を始めましょう。

参考サイト

ICL (2025a) Application process [Online]. Imperial College London. Available at: https://www.imperial.ac.uk/study/apply/postgraduate-taught/application-process/ (Accessed: 2025.9.4).

ICL (2025b) Personal statement [Online]. Imperial College London. Available at: https://www.imperial.ac.uk/study/apply/postgraduate-taught/application-process/personal-statement/ (Accessed: 2025.9.4).

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