GPA・英語力に不安がある人のためのイギリス大学院進学ガイド
「直接修士課程に入るには少しハードルが高い……」そんな悩みを持つ人でも、イギリスには段階的にゴールへ近づけるPre-Master・Graduate Diploma・Pre-Sessional Englishという3つの準備コースがあります。本記事では授業料と必要書類を含めて徹底比較し、最適な道を選ぶための判断ポイントや体験談をまとめました。
1.3つの準備ルートを一望しよう
コース | 期間 | 主目的 | 授業料 ※目安 |
---|---|---|---|
Pre-Master(大学院準備) | 6-12 か月 | 学術・英語力を同時強化 | £14,000-£20,000 |
Graduate Diploma(準修士) | 9-12 か月 | 学部→専攻転換・GPA補強 | £12,000-£18,000 |
Pre-Sessional English | 4-12 週間 | 英語条件クリア・渡航前適応 | £1,600-£4,800 |
※大学・専攻により変動。生活費(£1,100-£1,400/月)も別途必要。
2.各コースの内容・必要書類を詳しくチェック
◆ Pre-Master(大学院準備コース)
- 内容:研究計画書作成、論文執筆法、分野別基礎科目、IELTS 試験対策。
- 授業料:£14,000-£20,000/年。
- 必要書類
- 学部成績証明書(英語版・GPA2.3 以上が目安)
- IELTS 5.5-6.0
- パーソナルステートメント(動機・将来像)
- 推薦状2通
- 履歴書(CV)
◆ Graduate Diploma/Diploma(準修士)
- 内容:修士レベル科目+実務スキル(統計・プロジェクト管理等)。修了時は Level 6-7 の学位相当資格。
- 授業料:£12,000-£18,000/年。
- 必要書類
- 学部成績証明書(GPA2.0 以上)
- IELTS 5.0-6.0
- 志望動機書
- 推薦状 1-2 通
◆ Pre-Sessional English(4-12 週間)
- 内容:アカデミック・ライティング、引用法、ディスカッション、英国学術カルチャー。
- 授業料:£1,600(4 週)-£4,800(12 週)。
- 必要書類
- 大学からの Conditional Offer または Unconditional Offer
- 最新 IELTS スコア(4 週=0.5 差、12 週=1.0-1.5 差を埋める目安)
- パスポートコピー
- CAS 発行後、ビザ申請書類一式
- 位置づけ:
- 条件付き合格型:IELTS が基準未達でも「素質あり」と判断された場合、大学から必修として指定。
- 自主参加型:Unconditional Offer を持つ学生が学習環境に慣れるため任意で履修。
先輩の声:Unconditional でも参加して良かった!
Kayokoさん(教育学修士)
「私は Unconditional Offer だったため大学からは求められていませんでしたが、開講 6 週間前に Pre-Sessional を自主受講。結果、Academic Writing の型・引用ルール・文献管理ソフトの使い方を一通りマスターでき、修士本番の最初の課題で高評価を取れました。留学生活にソフトランディングできる安心感も大きかったです。」
3.コース選びの判断基準と費用感
- GPA差:基準-0.2〜0.3 ➡ Pre-Master/-1.0 以上 ➡ Diploma。
- 専攻転換:学部と異なる分野なら Diploma が安全。
- 英語スコア:IELTS5.0-5.5 ➡ まず語学学校+オンライン学習で底上げ。
- 予算・期間:1年準備で総費用 £25,000 前後。短期集中なら Pre-Sessional + 生活費。
- キャリア視点:Diploma は資格として履歴書に残り、Pre-Master は修士進学をもって完成。
4.出願準備7ステップ
「翌年9月入学」をゴールに逆算した場合のタイムライン
Step 1 |自己診断&ゴール設定(18〜14 か月前)
- 学力・語学力を数値化:GPA、IELTS/TOEFL、関連資格をリスト化。国内評価しか無い場合は GPA 換算ツールで英国式に変換。
- キャリア逆算:修了後3・5・10年の姿を簡潔に言語化し、専攻選定の軸とする。
- 費用試算:授業料+生活費+渡航費+保険+ビザで総額 £32,000〜£38,000が目安。奨学金・教育ローン調査を同時着手。
Step 2 |大学・コースのショートリスト作成(15〜12 か月前)
- 情報源:THE/QS ランキング、FindAMasters、各大学公式ページ、卒業生ブログ。
- 比較表を作成:入学要件・授業料・都市の生活費・学内奨学金・教授陣・研究施設など 10 列程度で Excel 管理。
- 志望校数:本命2校+抑え2校+チャレンジ1校=合計5校が一般的。
Step 3 |ギャップ分析 & ブリッジ計画(12〜10 か月前)
- GPA/IELTS 不足→ どの程度で Pre-Master・Diploma・Pre-Sessional が必要かを判定。
- 専攻転換→ ディプロマ or 関連オンライン資格(Coursera, edX)で基礎単位を補強。
- 実務経験不足→ インターン・ボランティアでエビデンスを確保(最低3か月)。
Step 4 |パーソナルステートメント & 研究計画書作成(10〜7 か月前)
- 構成:Hook → Academic Background → Research/Professional Fit → Why This Programme → Career Vision の5段。
- 文字数:500 – 1,000 語。大学別フォーマット厳守。
- 推奨作業フロー:①英語メモ → ②日本語でロジック確認 → ③英語ドラフト → ④ネイティブチェック → ⑤Turnitin で剽窃確認。
Step 5 |推薦状&証明書類の手配(9〜6 か月前)
- 推薦状:学術 1 通+職務 1 通が鉄則。依頼は少なくとも2か月前。
- 成績証明書:英文発行+学位記コピーを公証翻訳。スキャン PDF は 300 dpi 以上。
- その他:ポートフォリオ(芸術系)、GMAT/GRE、財政証明(銀行残高証明)など。
Step 6 |オンライン出願 & 面接対策(6〜3 か月前)
- 出願プラットフォーム:UCAS Postgraduate か大学独自ポータル。
- 出願料:£25 – £60/校。支払後はApplication Portalで進捗を確認。
- オンライン面接:Zoom or Teams。STAR フレームワークで動機・経験を整理し、2分ピッチを準備。
Step 7 |合格後の資金計画 & ビザ申請(3〜0 か月前)
- デポジット支払い:£1,000 – £5,000。支払うと CAS(入学許可番号)発行。
- ビザ:Student Route Visa。必要資金=コース残額+生活費9か月の合計を 28 日間保持。
- IHS(医療付加料)と TB 検査、宿泊契約書を用意。
- Pre-Sessional 併願者:早期申込みで割引・寮確保のメリット。
よくある質問(FAQ)
Q1. GPA 2.2 でもトップ校に出願できますか?
A. 直接合格は難しいですが、Diploma 修了後に本修士へ編入する「アップグレード保証」を提供する大学(例:Glasgow, Exeter など)があります。
Q2. 推薦状は2通必須?
A. 通常2通。学術1・職務1がベターですが、現役学生なら教授2通でも可。氏名・役職・連絡先・署名が揃えばスキャン PDF 提出で問題ありません。
Q3. IELTS を複数回受けると不利?
A. スコアが最も高い1通で判断されます。不合格経験はマイナス評価になりません。
Q4. 学費分割払いは可能?
A. ほぼ全大学が3分割(登録時・1学期末・2学期末)を用意。留学生でも利用可。
Q5. ビザ資金証明に奨学金内定書は使える?
A. 政府系・大学系奨学金はFunding Letterがあれば銀行残高の代替として認められます。民間財団は大学に確認が必要。
Q6. 現地でアルバイトは出来る?
A. Student Visa は週 20 時間まで就労可。ただし授業時間外のみ。生活費の全額補填は期待できないため、資金計画は余裕を持って。
Q7. 住まいはいつ探す?
A. 大学寮は合格後すぐに申請が安全。民間フラットは渡航2か月前からオンラインビューイング可。Rightmove や Spareroom が定番。
Q8. コース修了=修士課程保証?
A. 同大学内は「平均60% 以上」等で自動進学保証が多い。他大学は個別審査。
まとめ
GPA や英語力に悩んでいる人でも、上記3ルートを活用すれば希望するレベルのイギリス大学院合格は十分可能です。
まずは自己分析と情報収集を始め、余裕を持って準備を進めましょう。あなたの挑戦を応援しています!